野球をしている人に特に多い“上腕二頭筋長頭腱炎(じょうわんにとうきんちょうとうけんえん)”。
投球動作などを繰り返し行うことで発症します。
初期症状としては、肩の前側の痛みを感じる人がほとんど。
ここでは、そんな上腕二頭筋長頭腱炎の原因や症状、治療法を分かりやすく解説します!
目次
上腕二頭筋長頭腱炎とは?
“上腕二頭筋”は知っている人も多いですよね。上腕二頭筋は「長頭」と「短頭」から構成されています。
長頭は、腕の外側に付いている長い腱で、肩に連結されています。
短頭は、腕の内側にある短い腱で、力こぶをつくったときに盛り上がるのはこの短頭なんです。
少し難しい話にはなりますが、長頭は肩甲骨から上腕に出てくるまでにとても複雑な経路を通ってきます。
腱の状態で肩甲骨の関節窩(かんせつか)から始まり、肩の関節の中を通過したあと、結節間溝(けっせつかんこう)という溝を通り筋肉になります。
上腕二頭筋長頭腱炎とは、この結節間溝と呼ばれる溝を腱が通ることによって起こる炎症なのです。
※関節窩…関節を構成する、くぼんだ方の関節面のこと。
上腕二頭筋長頭腱炎の原因
野球の投球時やテニスのサーブ・スマッシュ、バレーボールでのサーブ・アタック、水泳などの肩より上に腕をあげるようなスポーツでよく発症します。
これは、肩を上げる動作で腱は結節間溝を上下に動くことで摩擦を起こし、これが長時間続くと腱と溝の間で炎症が起きるからです。
ただ単にオーバーユース(使い過ぎ)が原因の一つでもありますが、肩の動きが悪くなるような姿勢の悪さも関係しています。特に最近では猫背の人も多いので、無理なフォームでスポーツをすることで、肩や腕に余計な負担がかかっているでしょう。
上腕二頭筋長頭腱炎の症状
- 肩の前側が痛い
- 腕を肩より上にあげると痛い
- 重い荷物を持ち上げる時に痛む
- 力こぶに痛みやつっぱり感がある
- 上腕から前腕にかけて鈍痛がある
一番多いのは肩の前側が痛む症状です。
重症になるほど痛みの範囲が広がり、何かしている訳でもなく、じっとしているだけなのに痛むようになってきます。
上腕二頭筋長頭腱炎の治療法
安静にする
上腕二頭筋長頭腱炎は炎症が起こっている状態です。炎症が起こっているのにスポーツを続けるのは悪化の原因になるので、とりあえず安静にすることが大事です。
完全に安静にすることは難しいかもしれませんが、使い過ぎの原因と思われる動作は極力避けるようにしましょう。
アイシングする
アイシングも炎症には効果的です。
氷水をビニール袋などにいれ、肩にあてるようにして冷やします。約15~20分ほど、感覚がなくなるまで冷却してください。
冷やし過ぎると逆に凍傷になる危険性もあるので注意してくださいね。
薬物療法
症状がひどい場合は、ステロイド注射や鎮痛剤などで痛みを取り除きます。
炎症がおさまり、痛みがなくなりますが、だからと言って同じようにスポーツをすると悪化する場合もあります。
また、ステロイド注射は何度もすると腱が弱くなってしまうという副作用があるので要注意です!
姿勢を正して改善する
アイシングなどで炎症を抑えても、また同じような動きで炎症を再度引き起こしてしまうと治療の意味がありません。
スポーツをしている人は、一度自分のフォームを見直して、正しいフォームに改善していきましょう。
スポーツをしていないのに上腕二頭筋長頭腱炎になってしまった人は、日ごろの姿勢を改善してみて下さい。歩いている時だけでなくイスに座っている時など、猫背にならないように意識して生活してみてくださいね。
まとめ
上腕二頭筋長頭腱炎での手術はあまり行われません。
しかし、この炎症が慢性になってしまった時は、手術が検討されるでしょう。
肩関節の構造は複雑で、色々な肩トラブルがあるので、何か異変を感じたらすぐに病院を受診することをおすすめします!